Travel Banana

旅と映画とバナナの話

UberEATSなら学生ビザでも週20時間以上働けるって嘘?本当?【オーストラリア】

f:id:kogawahayato:20180614230001p:plain

 オーストラリアでは学生ビザ保持者は週に20時間までしか働けないというルールがあります。学生が学業に専念できるように、という理由でこのルールが存在しています。

 

 いくらオーストラリアの賃金が高いとはいえ週20時間のアルバイトで生活していくというのは経済的にかなり厳しいです。その上、学費やら家賃やら学生には色々な出費がつきまといます。

 

 しかし個人事業主として働くUberもしくはUberEATSのドライバーならばその制限を受けないのでは? という疑問が僕の中で急浮上しました。


 

学生ビザの週20時間ルール

 学生ビザ保持者は週20時間までしか働くことができません。正確には連続した14日間の中で労働時間を40時間以下にしなければならないという制限があります。この制限は学生ビザに付帯している"Condition 8105"という労働条件を規定しているルールによるものです。

 

Condition 8105

9.3.1.50 Visa Condition 8105

(1A) The holder must not engage in any work in Australia before the holder's course of study commences.

(1) Subject to subclause (2), the holder must not engage in work in Australia for more than 40 hours a fortnight during any fortnight when the holder's course of study or training is in session.

(2) Subclause (1) does not apply:

  1. to work that was specified as a requirement of the course when the course particulars were entered in the Commonwealth Register of Institutions and Courses for Overseas Students; and
  2. in relation to a Subclass 574 (Postgraduate Research Sector) visa if the holder has commenced the masters degree by research or doctoral degree.

(3) In this clause:

fortnight means the period of 14 days commencing on a Monday.

 

引用元:9.3.1.50 Visa Condition 8105 | Guide to Social Security Law

 

例えば

1週目 15時間
2週目 25時間
3週目 25時間
4週目 15時間

 というように働いた場合、1週目+2週目、3週目+4週目は40時間以内という規定を満たしていますが、2週目+3週目で40時間をオーバーしているので労働条件に違反していることになります。これが移民局に発覚した場合、ビザがキャンセルされて強制送還されます。

 

参考:

9.3.1.50 Visa Condition 8105 | Guide to Social Security Law

Work conditions for student visa holders

 

 

 

なぜUberなら制限を回避できると考えたのか

 では学生がUberEATSの配達員、もしくはUberのドライバーとして働いた場合はどうでしょうか。

 

 たしかにUberのアプリではオンライン時間は記録されますが、オンライン状態にしているからといってドライバーが常に働いているとは限りません。客の乗車や配達の注文はいつでも拒否することができます。例えばアプリをオンラインにした状態でカフェで勉強をして、気が向いたら配達に行くという働き方もできなくはないのです。

 

 そう考えると移民局がUberのドライバーの労働時間を把握するということは不可能なのではないでしょうか。さすがに配達時間が規定の時間を超えるのは問題がありますが、客待ち、注文待ちの時間は労働時間としてカウントされないのではないでしょうか。しかもUberの場合、待ち時間にはいっさい報酬が発生しないのです。

 

 このようなことから完全歩合制の個人事業主であるUberのドライバーの場合、学生ビザにおける週20時間以内という労働条件を当てはめることはできないのではないかと僕は考えました。

 

あるタクシードライバーの判例

 しかしこの考えにいまいち自信が持てなかったので僕はUberと学生ビザの労働条件について調べることにしました。するとある学生タクシードライバーの判例を見つけました。

 

参考:

Verma v Minister for Immigration & Anor [2017] FCCA 69 (18 January 2017)

Student Visas and Restrictions on Hours of Work - Immigration Daily News - Migration Alliance

 

 2017年1月に判決が出た裁判です。

 

 Verma氏は学生ビザでオーストラリアに滞在している28歳です。2008年にオーストラリアに来て以来、マネージメントやビジネスを勉強していました。しかし2015年12月に労働条件に違反しているとしてビザを取り消されました。

 

 彼は2008年からビザを取り消されるまでタクシー会社で働いていました。タクシー会社の記録では彼のシフトは夕方6時から朝の5時までで、週に5日か6日程度の勤務になっています。

しかし彼の証言によるとこのタクシー会社の記録は単なる"ログイン"と"ログアウト"の記録であるとし、実際の労働時間は客を乗せている間だけだと主張しました。更に客を乗せていない間は勉強時間にあてていると証言し、実際に彼は学位も取得しています。

 

 この裁判では労働時間とはどこからどこまでが労働時間にあたるのかということに焦点があてられました。

 

 結果的にこの裁判ではVerma氏は敗訴しました。裁判官Young氏によると、シフトに入っている間はたとえ勉強していたり本を読んでいたとしても労働時間にカウントされるとのこと。また、客待ちをする時間も客を乗せて運賃を得るためには必要な時間であるとしています。

 

 Verma氏はビザを取り消され、裁判費用7200ドルを支払わなければいけなくなりました。

 

 

 

判例をUberにあてはめると

 このVerma氏の判例は労働条件の似ているUberドライバーにもあてはめることができます。

 

 Uberドライバーの場合、オンライン状態の時間はすべて労働時間ということになります。いくら乗車や配達の拒否をしてもオンライン状態でいる限り"客待ち"をしているとみなされます。

 

 つまり個人事業主であるUber/UberEATSのドライバーであっても週20時間という条件から逃れることはできないということになります。

 

 オンライン上に常に労働時間と報酬が保存されているので移民局や税務署が違反を発見するのはむしろ簡単なほうなのではないかと予想できます。

 

まとめ

 UberEATSという働き方を見つけたときは「法の抜け道を発見した!」と思いましたがそんなことはありませんでした。Uberは学生の味方ではありませんでした……

 

 しかしオンラインとオフラインを細かく使い分けると労働時間を節約することができます。更にピークタイムや注文の多い場所をしっかり選ぶことができればUberEATSでもそれなりの報酬を得ることができます。

 

 また、ホリデー期間には週20時間の労働条件は適用されないのでいくらでも配達することができます。普通のアルバイトでは短期間だけシフトを増やすということは他の人との兼ね合いがあるので難しいですが、Uberなら簡単です。その点では学生の味方かもしれません。

 

 ではまた。